振袖や袴で使われる「重ね衿」とは?振袖で使う際の選び方をご紹介!

振袖や袴に合わせて使用されることの多い「重ね衿」。
皆さんはその役割や使用方法をご存じですか。
今回は、意外と知られていない「重ね衿」について、その役割と使用方法を紹介します。
さらに、振袖の色別に選び方も解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

□振袖や袴で使われる「重ね衿」とは?

*「重ね衿」の役割

「重ね衿」とは、着物の装飾用品のひとつで、いくつもの着物を重ねて着ているように見せるためのものです。
これには、華やかな印象を与えたり、振袖の雰囲気を変えたりする効果があります。

「重ね衿」が生まれた背景には、「十二単」の存在があります。
十二単とは、平安時代の公家女房の正装で、たくさんの衣を重ね着していることから、そのように呼ばれるようになりました。
当時は体が冷えるのを防止するためにいくつもの重ね着をしていたと言われていますが、のちに、豊かさのアピールのためにたくさんの着物を重ねて着るようになりました。

その後大正時代までは、留袖・振袖・訪問着などの礼装用の着物は、「祝い事を重ねる」という意味から、何枚も重ねて着用するのが一般的でした。
現代では、留袖に「比翼(ひよく)」を付けて仕立てますが、これは2枚重ねの名残といえます。
そして「重ね衿」は、この比翼衿をより一層簡略化したものになります。
「実際に着物を重ねて着ずとも、着ているように見せる」という意味で、「重ね衿」を使うようになりました。

現代の「重ね衿」にも、昔着物を重ねていた意味と同様に、「祝い事や慶び事が重なりますように」という願いが込められています。
そのため、多くの場合結婚式や祝賀会など、お祝い事の際に着る着物に合わせるのが一般的です。
ただし、こちらは必ず使用しなければならないというものではありません。
着物を華やかに仕上げたい場合は着用し、控えめな印象に仕上げたい場合は使用しないというように使い分ける方も多いです。

*「半襟」との違い

着物の襟部分の小物として「半襟」がありますが、こちらは重ね衿とは使い方も役割も異なります。
半襟は着物の下に着る襦袢(じゅばん)に縫い付けて使用するものです。
これは肌と直に接して襟元の汚れを防ぐため、着物を着る際には必ず身に付けるものであることを理解しておきましょう。

*「重ね衿」はどう付ける?

「重ね衿」は、長襦袢に付けた半襟と着物の間から5mm程度覗かせるようにして付けます。
このとき、完全に隠れてしまっては意味がないものの、あまりにも幅広くなりすぎるとだらしない印象を与えてしまいます。
適切な幅に、丁寧に調節しましょう。
この5mmが、全体の印象を大きく左右します。

□振袖の「重ね衿」の選び方は?

「重ね衿」を選択する際には、振袖や帯の色合いに合わせることで、全体の統一感が出ます。
そこで、ここでは振袖の色別に「重ね衿」の選び方を解説します。

1.赤色の振袖に合わせる「重ね衿」
振袖の中では圧倒的人気を誇る赤色の振袖には、様々な色合いの重ね衿が合わせられます。
例えば、くすみがかった黄色の重ね衿を合わせれば、存在感のある赤い振袖に大人っぽい印象を与えられます。
また、緑色なら落ち着いた印象や古風な印象が加えられるでしょう。

2.黄色の振袖に合わせる「重ね衿」
黄色は、ぼんやりとした印象になりやすいため、黒や赤の重ね衿で引き締めるのがおすすめです。
他にも、豪華な印象に仕上げたい方は桃色やゴールドの重ね衿を入れると良いでしょう。

3.青色の振袖に合わせる「重ね衿」
知的な印象を持つ青色の振袖には、重ね衿で差し色をしオリジナリティーをアピールするのもおすすめです。
例えば、橙色の重ね襟を入れるとオリジナリティー溢れた、華美な印象に仕上がります。
反対に、明るい水色の振袖であれば、深い紫や青の重ね衿を入れると引き締まったデザインとなるでしょう。

4.緑色の振袖に合わせる「重ね衿」
緑色の振袖には、大人っぽさを意識して重ね衿を選ぶことがおすすめです。
全体のトーンが落ちすぎないように注意が必要ですが、黒の重ね衿を合わせれば全体が引き締まり、落ち着いた大人の印象を演出できます。
また、赤を選択すれば、上品かつ華美な印象を与えられるでしょう。

6.白色の振袖に合わせる「重ね衿」
白色の振袖は、どんなカラーにも合うため、いろいろな小物と合わせて楽しめます。
例えば、淡い赤やピンクの重ね衿を取り入れることで、優しさや可愛らしさを演出できるでしょう。
また、白色の振袖はどうしても顔まわりに物足りなさを感じやすいため、赤色や青色などのはっきりとした色を重ね衿に使うのもおすすめです。

7.黒色の振袖に合わせる「重ね衿」
黒の振袖は、合わせる帯や小物等によって上品さやつつましさ、大人っぽさなど多様な印象を与えられます。
例えば、青色の重ね衿であれば爽やかな仕上がりとなりますね。

□まとめ

今回は、着物を重ねてきているように見せるための装飾アイテム、「重ね衿」について紹介しました。
たったの5mm程度しか見えない「重ね衿」ですが、この有無やカラーによって全体の印象は大きく変わります。
今回紹介したカラー別の選び方を参考に、お気に入りの組み合わせを探してみてください。

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は img_blog_banner_top.png です